有料老人ホームの経営状態について知る。

安定した経営をしているかどうかをチェックする

有料老人ホームの経営状態について知る。

 

金銭面で苦労しないために、あらかじめ経営主体の経営状況を調べておくことが必要です。

 

このために役に立つのが老人ホームの経営状態を示した決算書
(一定期間の経営実績や財産状態を示した書類のこと)です。

 

決算書は財務諸表計算書類と呼ばれることもあります。

 

老人ホームに見学に訪れた際にはパンフレット、
重要事項説明書とともに、老人ホームの決算書の閲覧を頼んでみるのがよいでしょう。

 

有料老人ホームの経営にあたっての注意事項をまとめた厚生労働省の
有料老人ホームの設置運営標準指導指針では、
入居予定者への決算書の交付について配慮するように求めています。

 

多くの都道府県でもこの指針に沿って決算書の情報開示を定めているので、
見学の際には交付を要求するのがよいでしょう。

 

決算書の交付を渋る老人ホームは経営状態や
サービスに問題があこともあるため、要注意と考えるべきです。

 

なお、上場企業であれば決算書の代わりに決算短信(決算の確定前に公表される決算の速報のこと)を
見ることによって運営企業の経営状態を把握することもできます。

 

決算短信は企業のホームページなどで誰でも閲覧できますから、ぜひこれを利用したいものです。

事業者のどこをチェックすればよいのか

有料老人ホームを選ぶ際には、どうしても立地や設備、
サービス内容や入居者の雰囲気など、日常生活に直結する点に目がいきがちです。

 

もちろんそれは重要なチェックポイントなのですが、その前にまず、
そのホームが長く維持できるかどうか、つまり経営状態をチェックしておくことが重要です。

 

今現在がどんなにすばらしいホームでも、
2年後3年後に経営破綻してしまっては意味がないからです。

 

ホームの経営状態を知るためにはまず、
ホームがどの程度情報公開をしているかを調べてみましょう。

 

最近はホームページ上で事業者情報や収支状況といった情報を公開しているところもありますし、
問い合わせをすればある程度回答をしてくれるはずです。

 

なお、必要な情報をすぐに得られる状態にしていないホームは、
その時点で問題ありと考えても差し支えありません。

 

具体的にチェックすべきポイントとしては、次のようなものが挙げられます。

 

事業者情報

 

有料老人ホームの場合、ホーム名をそのまま事業者名とし、
運営もそこで行っているという単体型のところと、
グループ企業の中の一つとして有料老人ホームを運営しているという複合型のところがあります。

 

したがって、ホームそのものの代表者名、所在地、事業者の形態(株式会社、社会福祉法人、NPO法人、医療法人など)、
設立年月日、資本金、運営理念といった情報はもちろん、親会社の業種や主要株主、
メインバンク、有料老人ホーム運営に至った経緯といったことも知っておく必要があります。

 

財務諸表

 

そのホームの経営状態を知るためには、
貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を見るのが一番です。

 

上場企業が運営主体であれば、財務諸表は一般に公開されていますし、
非上場でも公開しているところもあります。
一般公開していない場合は、事業者に提示を求めてみてください。

 

財務諸表を見ることができた場合には、営業収入が伸びているか、
自己資本比率がどの程度かといったことをチェックしておきましょう。

重要事項説明書の提出は義務付けられている

ある程度入居したい老人ホームを絞り込んだら、
さらに詳細な情報を得るために入手したいものがあります。

 

それが重要事項説明書です。
参考記事:老人ホームの重要事項説明書について知る。

 

重要事項説明書は、ホームに関する情報が正確かつ詳細に記されたもので、
全国共通の様式で作成されています。

 

具体的には次のような項目が記載されています。

@ 事業主体概要
事業主体の名称、代表者名、所在地、資本金、設立年月日、
主な出資者、主要取引銀行など

 

A 施設概要
施設名、施設類型、入居時の要件、介護保険適用の形態、
介護職員の体制、建物概要など

 

B 従業者に関する事項
職種別従業者の人数、有資格者数、常勤換算後の人数、
夜勤職員数、前年度1年間の採用数・退職者数など

 

C サービスの内容
提供される介護サービス、生活支援サービス等の内容、
介護・医療体制、苦情窓回の設置状況など

 

D 入居状況
入居者の実数及び定員、要介護者数、前年度の退去者数など

 

E 利用料
入居一時金、返還金、初期償却率。償却期間、月額利用料、
一時金返還金の保全措置など

 

これらの情報のうち、経営状態という面から特にチェックしたいのが、
入居率と前年度の退去者数、前年度の退職者数です。

 

設立して2年を過ぎても入居率が7割に満たないというホームは、
経営状態が悪化している可能性があります。

 

また、前年度の退去者や退職者が極端に多い場合、
経営者の運営手腕や方針に問題があると思われますので注意してください。

 

なお、有料老人ホームには、
入居者や入居希望者から重要事項説明書の提出を要求された場合、これに応じる義務があります。

 

「今作成中です」「契約者にしかお渡ししていません」などと言って、
提出を拒否するホームは、信用に値しないと見てよいでしょう。

 

参考図書